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キログラム原器

「キログラム原器」って知っていますか?

教科書で言うとコラムばっかり読んでいたタイプの私はこういうテストに出ないけど教科書に載ってるものがやけに頭に残っています。

 

日本で言われるキログラム原器は主に二つあり、

国際キログラム原器と

 

日本国キログラム原器です。

 

 

昔は1kgの重さはこれの重さと定義しており、材料も変化や磨耗に強い白金・イリジウム合金製の分銅で作られています。

それよりもっと昔は1リットルの水を1kgと定義していましたが、温度によって体積が変化する水では不安定とされて、1889年に国際キログラム原器が作られ、パリ郊外の国際度量衡局におかれました。

保管方法もかなり厳重でほこりや湿気などの影響を受けないよう3重のガラスの容器に入って金庫で保管されます。

 

これの日本版が日本国キログラム原器です。

茨城県にある産業技術総合研究所で、こちらは2重のガラスの容器に入って金庫で保管されます。

 

ところで、10万年は機能するとされていた国際キログラム原器ですが、校正や清掃により国際キログラム原器が数μgほど軽くなってしまっていたことが発覚し、2019年に定義が変更されました。

1kgの定義が変更になるというのはおそらくこれが人類史上最後の出来事で、この先ずーっと変わらないという一大事なんです!!

 

今の定義は以下です。

プランク定数 hを6.62607015×10^34[Js]と定めることによって定義される。

 

うわ、わかりにくい!!

 

もう少しだけ補足すると、このプランク定数hの他にも、光の速さなどのような変わらない数字を用いて定義しています。

導出は省きますが、具体的な式は以下です。

ν=mc²/h

ν:光子の振動数[Hz]、m:質量[kg]、c:299792458真空中の高速[m/s] ([J]=[kg・m²/s])

 

これによって絶対に変化しない1kgを定義づけることができました。

 

しかも!!

この1kgの定義には日本が大活躍したんです。

さきほども出てきた茨城にある産業技術総合研究所というところが高精度の1kgシリコン(ケイ素)球を作り、原子間距離を基にケイ素の数を求めることで、厳密な原子の数を割り出しました。
(これによりアボガドロ定数の精度も向上しました。)

これを新しい定義に活用することで、日本が新定義に大きく貢献したんです。
これにより、日本の精度・技術力の高さを世界に広めることにも成功しました。

 

ということで、1kgの重さは変わらないですが、1kgがどんな重さか、ということが変わったというお話でした!
難しいけど面白い、科学の世界へようこそ!