なぜ月を目指すのか

1か月ほど前、月の裏側の鮮明な写真が世間を賑わせました。
覚えているでしょうか?
「アルテミスⅡから月の裏側の写真が到着!」
これ、誤解を招く表現だなあ、と感じました。
正確にはこうです。
「アルテミスⅡ計画のオリオン宇宙船から、月の裏側の写真が到着!」
まあ、なにはともあれ相当久しぶりに月を目指した計画です。
月を目指す計画と言えば「アポロ計画」。
ポルノグラフィティの「アポロ」でもおなじみ。
11号が初めて月に降り立って、13号が爆発。奇跡的な生還を果たし、17号まで続きました。
ということで、今回のアルテミスⅡという作戦でアポロ計画以来、実に56年ぶりに地球からの最遠到達距離を更新しました。
やはり半世紀も時が経てば技術の進歩がすごいですよね。見ました?あの鮮明な月を。
50年前のアポロの時の映像とは雲泥の差。
ところで、なんで人類は月を目指すのか。
今日はこれについてお話していきます。
アポロ計画
20世紀少年などの世界観を想起させるこの言葉、今聞いてもロマンを感じます!
アメリカ航空宇宙局、NASAによる人類初の有人宇宙飛行計画です。目指す場所は月。
そもそも、冷戦下のソ連との宇宙開発競争で一歩飛び出すために始まった計画です。
有人宇宙飛行や人工衛星の打ち上げで後れを取っていたアメリカが、一発逆転を狙ったのがこのアポロ計画です。
11号が人類史上初めて月に降り立ち、13号が月の裏側まで行きました。このときの距離が、長らく破られていなかった、地球から最も遠くに人類が行った記録になります。実は13号は月面着陸を目指していたのですが、爆発した時点で、月に着陸して再出発する力が残っておらず、仕方なくグルっと月の裏側を回って、スイングバイの要領で地球へ脱出しました。
その後は17号まで続きましたが、相変わらず月の裏側を目指すというよりは、月面着陸を目指したため、それ以降距離の記録は破られませんでした。
その後、スペースシャトル時代、ISSの登場を経て、満を持して月を目指す計画がスタートします。
それこそが「アルテミス計画」です。
アルテミス計画
アポロ計画から時を経て、ついにNASAが月を目指す計画を再始動させました!
アルテミス計画は現在アルテミスⅦまで発表されており、提案されている計画ではⅪまで提案されています。
前回のアルテミスⅠでは無人の宇宙飛行。
今回のアルテミスⅡでは有人での月周回。大成功!!
もどかしいですが次回のアルテミスⅢでは有人の地球低軌道での試験ミッションと、一度地球付近でのミッションを挟んで、
アルテミスⅣでついに月面着陸を予定しています。
アポロでは計画名=宇宙船の名前でしたが、今回はアルテミスはあくまで計画名です。
宇宙飛行士の乗る宇宙船の名前はオリオン。
アポロ、アルテミスの名前の由来となっているのはギリシャ神話の神。アポロンとアルテミスは双子で、オリオンは女神アルテミスの恋人です。
商業としての側面
実は今回、NASA単独の計画ではありません。
JAXAなどの国際的パートナーはもちろん、イーロンマスクのスペースXなど、民間企業とも手を組んだプロジェクトです。
例えば地球から出たオリオン号が直接月面に着陸するわけではなく、月の周回軌道で待ち構える宇宙エレベーターのような役割を果たす、月着陸船や物資輸送は民間が請け負っています。
それこそ、宇宙産業は、NASAやJAXAに買ってもらえるのはもちろん、宇宙という極限状態でも使えるという圧倒的な技術力を示す良いきっかけにもなり、宇宙ビジネスはますます加速しています。
有人月面着陸宇宙船
先ほど少し話の出た「月着陸船」。アルテミス計画では地球を出発した宇宙船を、月の大気圏に再突入させなくていいように工夫しています。
これによって、消耗部品を大幅に削ることができます。
代わりに月の周回軌道で待機している月面着陸船に乗り換えて、エレベーターの要領で月面に降り立つ計画です。
(当初は月の周回軌道にも宇宙センターを作るような計画でしたが、この計画は当面中止になりました。)
月面着陸
そして、アルテミスと言う名前。ギリシャ神話の月の女神を基にした名前です。
女神を冠するだけのことはあって、アルテミス計画では
女性宇宙飛行士を月へ!
という大きな目標があります。
少しずつ、着実に進んでいるこの計画、予定通りなら2028年に久しぶりの月面着陸が実現するかもしれません!
そして表題の、人類はなぜ月を目指すのか?
少し現実的な話をすると、月の土地やルールは辿り着いたもの勝ち、と言う部分があるため、他国に先を越される前に!という面もあるようです。
ロマンのある方面の話をすると、宇宙に行く、月に行くというのはとても難しいことです。
大気圏突入に耐え、無酸素、無重力に耐え、計算通り宇宙船を動かさなければなりません。
そんな極限状態の中で耐えうる技術が必要です。
また、月に着陸するためには様々なものの小型化、軽量化も必須です。
実はスマホに搭載されている高性能な小型カメラも、実は宇宙産業の副産物でできた製品です。
宇宙を、月を目指すことでたくさんの技術革新が起こってきました。
宇宙を知るため、地球を守るため、この銀河を支配するため。
様々な言い方をされていますが、近年人類が月を目指す理由は変わりつつあります。
それは「火星に行くため」。
月は火星へ行くための練習場であり、工場です。
です!というには今のところなにも建っていませんが。
ですが、衛星ではなく惑星に到達し、活動を行うことを目指しています。
それは映画で見るような地球を捨てて火星に住むためではなく、死んだ惑星、極限状態の火星で、
環境問題についての課題を解決するためだったり、
今のところ地球にしか存在が確認されていない生物の痕跡が火星にあれば生きていくことがもっと簡単になったり、
エネルギーの枯渇問題解決にもつながるかもしれません。
地球を捨てるためではなく、地球を生かすために地球を飛び出しているのが宇宙飛行士なんです!!
宇宙はロマン!