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囲い込み

いやー、やっちゃいましたねー
何って野球、WBCの話ですよ。

 

スイッチングコストが高く、オポチュニティコストに見合わないために、プラットフォーム・ロックインが逆効果になっちゃいましたね

 

は?

 

 

まあまあ、順を追って現代語訳していきますのでお付き合いください。

前回大会のWBC2023は、久しぶりにめちゃくちゃ面白かったですよね!
・献身的なプレーでファンの手のひらを見事に返して見せた、ラーズ・ヌートバー
・主砲、村上宗隆の復活
・球史に刻まれる名勝負、大谷翔平vsマイク・トラウト

 

小さな事件も含めると、2年たった今でも、一回分の飲み会はその話題だけでも事足りるほどです。
こんなに当たりの年はなかなかないですが、やはり次回大会にも期待がかかるところ…!

というところで舞い込んできたニュースがあります。

「「2026年のWBCは、NETFLIXの独占配信が決定!」」

 

このニュースを聞いて、ラッキーと喜ぶのはネトフリユーザーくらいで、大多数の非会員は残念がっています。
やはり無料で見れる地上波に比べてネトフリで見ることができる人の割合はほんのわずか。
ネトフリの独占配信の影響で、野球人気はますます低下するとまで言われています。

 

正直私もそっち派の意見ですが、ネットフリックス側はそうじゃなくて、
WBC独占配信するんだから会員になってよー
って言ってるんでしょうね。

 

そう言われたって、ネットフリックスに登録するほどじゃないんだよなあ。と感じてしまいます。

 

こんなこと、前にもあったような、、、

 

「このアニメ、原作ゲームなんだ!じゃあ原作もプレイしてみようかな。」
「えーっと、、、Xbox専用かーい!」

 

なんぼなんでも、1つのソフトのためにハードまでは買えないなぁ。と諦めたのを思い出しました。

 

この事例、マーケティング視点で見ていきましょう。

消費者は購入する際、

  1. 認知(WBCをNetflixでやると知る)

  2. 興味(見たいなと思う)

  3. 欲求(本当に見たい?)

  4. 行動(契約する?)

という流れを踏むとされています。

この時、3の欲求や4の行動の際に、みんなコスパを考えるわけです。
最近の子は時間のことだけタイパとか言うみたいですが、時間もコストです。コスパです。

ここで、冒頭にわざとらしくカタカナで書いた言葉が登場するのです。

機会費用(Opportunity Cost)
意味:ある選択をすることで失う「別の選択肢」の価値。

  • 例:
    Netflixに加入 → 月額料金を払うが、他のコンテンツを見ないなら損。
    ゲーム機を買う → 他の趣味に使えたお金を失う。

  • 消費者は「そこまで払う価値ある?」と天秤にかけ、結局見送る。

スイッチングコスト(Switching Cost)
意味:ある製品・サービスから別のものに乗り換える際に発生する心理的・金銭的なコスト。

  • 例:
    Netflixに加入する(お金+登録手続き)というコストが、WBCを観たい気持ちを上回る。
    ゲーム機を新たに買う(ハード代+学習コスト)が、欲しいゲームソフトへの欲求を上回る。

 

逆にスイッチングコストではなく、自分の持っているものでしか遊べない、自分だけが見れる権利、というような囲い込みという手段もあります。

プラットフォーム・ロックイン(Platform Lock-in)
意味:ある製品やサービスが「エコシステム」で囲い込みを行うこと。

  • 例:
    ゲームソフトは専用ハードでしか遊べない。
    WBCはNetflixでしか見られない。

 

 

特に今回のWBCとゲームの例では、いずれもスイッチングコスト、つまり
わざわざ登録するほどでもない、
ハードを買うほどでもない、
というように、魅力がコストを超えられなかったということですね。

 

WBCを例にすると、「コスト」というと単に月会費だけのように聞こえますが、
・登録するための面倒な手続き
・それにかかる時間
・ネトフリに登録したからもったいないから空いた時間をネトフリに回すという、未来の時間的拘束など
様々なコストを想像して、登録しないという選択肢になってきます。

独占配信ってプラットフォーム側にはいいですが、コンテンツ側にはいいことってあるんでしょうか?

もちろんスポンサー料や放映権料は入って来るんでしょうけど、スポーツにしてもアニメにしても映画にしても、いずれもたくさんの人に見てもらってなんぼじゃないの?ファンを増やしてなんぼじゃないの?

と、感じずにいられませんが、

特にアニメや映画なんかは、売れるか売れないか、出してみないとわからないところもあり、独占配信で放映権料を安定的にもらえる方がいい。大ヒットを狙うよりも、赤字を阻止する、という考えになるのもわかる気はします。

結局は、独占配信という短期的な収益か、ファン拡大という長期的な価値か。どちらを優先するかでコンテンツの未来が決まっていくのかもしれません。

 

と言いつつ、試合日が近づいてくると私もついネトフリ登録しちゃうんだろうなあ。